コラム

Vol.1 インフォマーシャルのはじまり

テレビショッピングのジャンルのひとつとしてアメリカで生まれたインフォマーシャル。この広告手法を弊社ではじめて試みたのは約20年ほど前のことです。通販会社が多く競争が激化する福岡で、訪問販売を中心としていたA社の相談からはじまりました。当時の売り上げは7億円程度。しかし、在宅率が低くなり訪問販売は先行きが不安な販売手法となりつつありました。そんな折、チラシ広告からの新たな販路としてテレビ広告のご相談を頂きました。

商品は15,000円の洗顔石鹸。これは当時の市場単価で言えば破格の高さでした。「15秒や30秒のCMでは、価格に説得力を与えるだけの情報を伝えることが難しい…。」しかし、商品自体はとても良いものであり、熱心に商品の魅力を語る社長の話には説得力がありました。そこで、洗顔石鹸の魅力を充分に伝えるために、30分型インフォマーシャルを作ることを提案しました。

しかし、当時は国内で30分の単独テレビCMなど存在しなかったため、なかなか放映許可が下りませんでした。それでも根気良く交渉を行ったところ、東北地方のある放送局が放映してくれたのです。番組の内容は社長とタレントのビューティートーク番組。社長が色々なタレントをゲストとして迎え、肌やスキンケアの問題を指摘するなど、当時としては刺激的な内容でした。結果は大成功!ローカル局であるにも関わらず、初回から200セット以上が売れました。この番組がきっかけで放送局はどんどん広がり、3年後には売り上げが年商200億円以上に。「通販のメッカ」福岡でのこの成功事例は、反響を呼び、テレビCMの新しい手法として日本全国へ広がっていきました。

Vol.2 インフォマーシャルの普及

店舗を持たない通販において、広告を出稿することの目的は、消費者からの注文や問い合わせといった「レスポンス」を受けることになります。手に取ることの出来ない商品を購入に結びつけるためには、商品について深く理解してもらうことが必要です。
商品や企業などの認知度を高めることが目的とされていた当時の日本のテレビCM枠は15秒や30秒が基本。商品の理解や信頼感を高めて消費者を購入まで導くには、時間が短すぎます。

尺の長いCMは、1つの商品を丁寧に説明できる時間が確保できるため、時間が長くなればなるほど、商品の理解や印象が深まり購入まで導くことができます。新しい試みとしてはじまったこの尺の長いテレビCMは、「インフォマーシャル」と呼ばれ、現在の通販CMでは主流の広告手法となっています。

Vol.3 インフォマーシャルの今後

福岡は大手通販会社が多数存在する「通販のメッカ」。制作をはじめた当初は、スタジオ撮りだけで成り立つシンプルな構成でしたが、インフォマーシャルという広告手法が珍しくなくなっていくと、次は広告内容の差別化が求められました。そこで新しい試みとして、商品の品質をアピールする「実験VTR」や、商品を使った感想を本人が語る「体験者レポート」など今までになかった表現手法を提案。実際に番組放送を行なった結果をもとに、“売れる表現(クリエイティブ)”を模索していきました。

1社からスタートしたこの広告手法ですが、今や弊社でのインフォマーシャル制作実績は200本以上に及びます。50社を超える通販会社様とのお取引の中で、多くの成功事例も体験してきました。
インターネットが普及した現在では、ウェブサイトなど、クロスメディアを活用した新たな展開もはじまっています。新聞の普及率は60%。対してテレビの普及率は99%。世代性別を問わず幅広く情報を伝えることができる非常にパワーのある媒体です。特に到達力と訴求力においては圧倒的な力をもつため、通販において新規獲得には欠かせない媒体として今後も発展し続けることが予想されます。

Vol.4 インフォマーシャルと薬事法について

健康食品通販メーカー様にとっては死活問題ともいえる薬事法対策。近年では表現に関する解釈も厳しさを増すなかで、健康増進法、景品表示法にも縛られて、どのように「お客様に伝えたいこと」を表現すればいいのか、頭を悩ませているメーカー様も多いのではないでしょうか。
広告を出稿する際、最も気をつけなければならないのが、薬事法に関連する表現です。最近では、薬事法の改正に伴い、これまで表現できたものが表現できなくなったといケースも少なくありません。薬事法を正しく理解していないと、広告審査で承認されず、広告が開始できない、ということにもなりかねません。

薬事法は、医薬品・医薬部外品・化粧品及び医療機器に関する運用などを定めた法律です。品質、有効性及び安全性の確保のために必要な規制を行うとともに、医療上特にその必要性が高い医療品及び医療機器の研究開発の促進のために必要な措置を講ずることにより、保健衛生の向上を図ることを目的としています。
「医薬部外品」や「化粧品」は品質や表示等について、薬事法の定める規制のもとに管理されています。この法律は、健康食品や化粧品と医薬品の違いを明確にすることで、消費者が誤解するような効能効果の表示や広告をすることがないように規制する役割を果たしています。

広告で商品を表現する場合、薬事法以外にも気をつけなければならないさまざまなガイドラインがあります。テレビを媒体とする広告においては、放送局ごとにそれぞれ独自のガイドラインがあり、民放連による放送基準や「健康増進法」などの各種法令に抵触していないかを確認しています。他にも「特定商取引法」や「食品衛生法」など、クリアすべきさまざまな考査基準があります。